理想の生誕委員長

オタクの皆さんはアイドルの生誕委員会についてどう思いますか?

私は乃木坂ちゃんを追っていた時代、アンチ生誕委員でした。コロナ禍前には(今の単なるお話とは違う)アイドルの手を握ることができるリアル握手会が存在しました。

その時代はメンバーの誕生日をリアルに祝う風習があって、メンバーがお立ち台に立って誕生日の抱負などを語る時間が設けられていました。

握手会の待機列にアーチを作ったり、誕生日のお飾りをしたり、というのは生誕委員と呼ばれる、運営と直接コネクションのある委員だけが行える特権でした。

また、会場全体で生誕のお祝い写真を撮るときには、メンバーと超近距離(足元)に並んで撮れるというのも特権の1つでした。

純粋にメンバーをお祝いしたい気持ちで活動している人が多くいるとは思うのですが、私は早い段階で嫌な光景をみてしまい、それ以来、アンチ生誕委員になりました。

今思うと「しょうもないな...」と思うのですが、私がみた光景は、メンバーとの撮影の際に、生誕委員の人(男)が生誕委員じゃない女の子たちに「オレ、生誕委員だからここの列に入れてあげるよ」とすさまじいドヤ顔で言いながら誘導する姿でした。

元々うっすら感じていた「生誕委員って自己顕示欲の塊みたいな人達が集まる組織」という印象が一気に増し、伝聞する人間関係のゴチャゴチャした話なども重なって、嫌いになりました。

私は私のやり方でメンバーをお祝いしたい。誕生日だけじゃなくていつも応援したい。そう思ってやり始めたのが「ファンサイト作り」でした。

インターネット草創期に流行ったいにしえの「ファンサイト」という概念を、令和の現在に合わせて昇華させようと取り組みました。

話が脱線してしまいましたが、そんなアンチ生誕委員だった私に転機が訪れます。

それはある方から「佐々木舞香さんの生誕委員に入りませんか?」というお誘いからでした。ファンサイトをみてくださったのかわかりませんが、普段のポストから舞香ちゃんへの愛を感じると。

しかし乃木坂時代の印象を払拭できない私は「リーダーが強いとか、人間関係とか大変じゃありません?」と不躾に返してしまったのです。

するとその方は「代表の方がとても優しくて気遣いされる方なので大丈夫です。」と返してくれました。

百聞は一見に如かず、ということで、実際に参加して早々にお会いさせていただいたところ、え、こんなに謙虚で柔らかい人がリーダーなの!?と驚きました。さらに驚いたのは生誕委員には膨大なタスクがあるということ。そしてそれを温和なリーダーがご自身でゴリゴリとさばくという仕事ぶりでした。

私は思い込みや推測って駄目だなと反省しました。そしてリーダーの仕事ぶりを拝見しながら、少しでも手伝えることを...と思って、イベントでのメッセージ集めや絵師さんのWebサイト作成(誕生日までのカウントダウン公開式!)ととても微力ながらお仕事をさせてもらいました。

「イコまいさん、手伝ってくださって、本当ありがとうございます」

そんな風にいつも優しい言葉をかけてくださりました。私にとっては理想の生誕委員長で、この方を超えてお力添えになりたいと思うことはないだろう...というくらい心酔しました。

生誕委員ってどうしても人間の自己顕示欲が良くも悪くも垣間見える組織だと今でも思っています。ただ、決してそうではない、心の底から、舞香ちゃんへのお祝いと、みんなで楽しくやる、自分は完全な黒子に徹する、というすごい方に出会えて私は本当に運が良かったです。

ただ、残念なことに、長らくリーダーを務めてきたその方は、今期で座を若い世代に託して交代されました。引き際も美しい...。

戦国や幕末のサムライじゃありませんが、私がつかえる主君はあなた様だけでございます、という気持ちになってしまい、私は今期で委員を離れることにしました。

1年だけ(実際の活動は数か月)の委員経験でしたが、素晴らしい方を知れたので本当に良かったです。今後は個人で運営しているファンサイトなどで個人的に舞香ちゃんをお祝いしていこうと思います。